建設業界の変革を目指し、デジタル技術の活用で新しい価値創出に挑戦
統合データプラットフォームを基軸にデータドリブン経営を推進する大成建設、データ民主化のカギとなるデータカタログのスムーズな導入をジールの手厚い支援と高度な知見で実現

大成建設株式会社

お客様の要望

  • 統合データプラットフォームに収集・統合したデータや全社員が業務に必要な様々なデータを自ら検索、入手できる環境を構築したい

  • セキュアな環境で全社員がデータを活用可能な仕組みを実現したい

  • データ利用者向け画面として別途スクラッチ開発するデータカタログサイトのフロント画面との容易な連携を可能とするAPIを実装したツールを導入したい

ZEALにした決め手

  • 企業のデータマネジメントの取り組みにしっかりと寄り添える伴走力

  • マイクロソフトのソリューションに対する確かな実績と高度な知見

  • マイクロソフトとの強固なアライアンスによって提供される課題解決への解像度の高いアプローチ力

効果・実績の内容

  • Microsoft Purviewの採用により、コストを抑制しながら統合データプラットフォームとの柔軟な連携を可能とするデータカタログを構築

  • 既存Microsoft Entra ID(旧称 Azure Active Directory)との連携により、データカタログのコレクションに対して、ユーザーのロールや所属組織に基づいたアクセス管理が可能に

  • ジールの親身なサポートとマイクロソフト製品に関する高度な知見により、スムーズなデータカタログの導入を実現

背景と課題

経営基盤のDX推進に向け統合データプラットフォーム「Taisei-DaaS」を構築
データ利用者のタッチポイントとなる「データカタログ」が不可欠に

大成建設株式会社 社長室 情報企画部 デジタル推進室 次長
林 秀明氏

1873 年に創業した大成建設は、土木・建築をビジネスの中核としながら、環境、エンジニアリング、都市開発、不動産など、幅広い分野に事業領域を拡大し続けている。同社が業界再編や様々な外部環境の変化に対応するために策定した中長期的ビジョンが「TAISEI VISION 2030」だ。その実現に向け202123年を対象期間とする「中期経営計画」では、IX(インダストリアルトランスフォーメーション)、SX(サステナビリティトランスフォーメーション) 、DX(デジタルトランスフォーメーション)の3つのXを柱に据え、変革に取り組んでいる。

大成建設のDX推進に向けた取り組みの1つが、「Taisei-DaaS(Taisei-Data as a Service)」と名付けられた統合データプラットフォームの構築だ。大成建設 社長室 情報企画部 デジタル推進室 次長の林 秀明氏はTaisei-DaaS構築の背景について、「これまでは個別最適化により各部門の業務システムが構築されていたため、システム間のデータ連携が困難となっていました」と振り返る。

「サイロ化されていたデータをTaisei-DaaSに集約。企画・提案から設計、施工、リニューアルという“建設ライフサイクル”の各工程で発生するデータをシームレスに連携し、データ利用者自身が社内データを検索・取得できる環境の実現を目指しました」(林氏)

20224月、Microsoft Azureをプラットフォームに、ETLツールの「Azure Data Factory」、データ分析サービス「Azure Synapse Analytics」などを活用したTaisei-DaaSの構築が完了。基幹系システムからのデータを集約し、経営ダッシュボードに情報を提示するなど、定型的なデータ活用が可能な仕組みが整備された。

次のフェーズとして着手したのが、「データカタログ」である。デジタル推進室 課長代理の関口 拓希氏は「社内のデータ利活用を活性化させるためには、『どのようなデータが社内にあるのか』を検索し、抽出、すぐに分析に取り組めるような、データ利用者のタッチポイントとなる仕組みが必要であり、データカタログの実装は、Taisei-DaaSの構築を計画していた当初から不可欠と考えていました」と語る。

大成建設株式会社 社長室 情報企画部 デジタル推進室 課長代理
関口 拓希氏

採用のポイント

Microsoft Purviewに対する高い技術力と豊富な実績を評価しデータカタログ導入のパートナーにジールを選択

株式会社大成情報システム デザイン&ソリューション部 チームリーダー
辻 征氏

データカタログの選定で掲げられた主な要件は、データの可視化と検索性だけでなく、他システムとの柔軟な連携、そしてセキュリティ、ガバナンスの確保である。関口氏は「データ利用者向け画面として別途スクラッチ開発するデータカタログサイトのフロント画面とデータ連携が行えるAPIが備わっていることが必須でした」と語る。また、大成情報システム デザイン&ソリューション部 チームリーダーの辻 征氏は、「データの中には、参照権限が必要な機微なものも少なくありません。そこでデータカタログを通じたデータ活用では、利用申請を行ったり、参照権限を持った人だけが利用できたりする仕組みが求められていました」と話す。

これらの要件を基に複数のベンダーからの提案を比較検討。最終的に構築パートナーとして選ばれたのが、データカタログを含めた統合データガバナンスソリューション「Microsoft Purview」を提案したジールだった。Microsoft Purviewが選択された理由は、優れたデータの可視化と検索性、充実したAPIの実装、そしてセキュリティやガバナンスの確保についても、大成建設の既存認証基盤であるMicrosoft Entra ID(旧称 Azure Active Directory)との連携で実現できることが挙げられた。このほかにも、スモールスタートによりコストを抑制しながら徐々に社内展開を拡大させることが可能な点や、今後の機能拡張計画など、Microsoft Purviewが有する将来性も選択のポイントとなった。

そして、導入パートナーとしてジールが選定された理由について、関口氏は次のように説明する。「建設業界における数多くのデータ活用基盤の構築実績があるため、安心して任せられると感じました。加えて、Microsoft Purviewをはじめとしたマイクロソフト製品に関する高い技術力と豊富な実績を有していことも選択のポイントとなりました」(関口氏)

導入のプロセス

データの民主化を加速させるデータカタログの導入をジールが全方位でサポート

20232月、大成建設のデータカタログ導入プロジェクトがスタートした。今回、大成建設のTaisei-DaaS開発チームがデータカタログサイトのフロント画面部分の開発を担い、ジールはTaisei-DaaSとフロント画面の仲介役となるデータカタログの導入を担当。ジールの手厚い伴走支援のもと、202310月には本番リリースを迎えることができた。

プロジェクト推進・技術支援のポイント①
Microsoft Purviewによるデータカタログ導入に際して、ベストプラクティスを採用

株式会社ジール ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット 上席チーフスペシャリスト
永田 亮磨

Microsoft Purviewを活用した大成建設のデータカタログ導入にあたり、まずジールが念頭に置いたことはセキュリティの確保をはじめ、信頼性やコスト最適化、優れた運用性、高いパフォーマンスを実現していくことだ。ジールの永田 亮磨は、「これらの基本要件を満たしていくために、マイクロソフトが提示しているMicrosoft Purview のベストプラクティスや、Microsoft Azure で最適な設計を行うためのフレームワークである『Azure Well-Architected Framework』を参照しながら設計、構築を進めていきました。これにより、セキュリティをはじめ、大成建設様がデータカタログに対して必要としていた基本要件を最適な形で実装できたと考えています」と語る。

プロジェクト推進・技術支援のポイント②
Microsoft Purviewに関する高度な知見に基づき、大成建設固有のニーズにも対応

ベストプラクティスに基づいたデータカタログの導入に加え、ジールは大成建設が求める固有のニーズにも応えていった。その一例が、データ資産やデータソース、データの所有権やアクセス制御などを管理するためのデータマップとなるMicrosoft Purviewの「コレクション」の設計である。
ジールの増田 圭亮は「大成建設様の要望を組み入れつつ、Taisei-DaaS開発チームが進めるフロント画面開発と連携し、要件をすり合わせながら、ベストなコレクションの仕組みを実現するための提案、および設計に取り組みました。」と語る。
そうしたジールの支援に対して関口氏は「コレクションの設計が難しくベストプラクティスの適用に難儀していた中、ジールとの密なやり取りを通じて、コレクション数の制限とその対処法など、多岐にわたるノウハウを提供してもらうことができました」と評価する。 加えて、初めて導入することとなるMicrosoft Purviewの機能や利用方法に関する教育を行ってくれたことも、ジールに対する評価ポイントだったという。

株式会社ジール ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット マネージャー
増田 圭亮

プロジェクト推進・技術支援のポイント③
マルチテナント環境での利用における、データカタログのセキュリティ確保にも尽力

Microsoft Purviewを用いたデータカタログの構築にあたり、セキュリティの確保も重要なポイントとなった。そのための施策の一例が、マルチテナント環境におけるユーザー認証情報の連携である。ジールの永田は「大成建設様はMicrosoft Azureの基盤をユーザー用テナント、開発用テナントに分けて運用しています。検討の結果、今回、Microsoft Purviewを開発用テナント上に構築することが決まったのですが、そこで大成建設様のご要望に基づき、ユーザー用テナント上に構築されたMicrosoft Entra IDの情報を、データカタログのコレクションに対するアクセス管理に利用可能な設計を施しました」と説明する。

辻氏は「コレクションへのアクセスには、社員のロールや所属グループに紐づいた認証/許可を行いたいと考えており、そのためには、別テナントにあるMicrosoft Entra IDの活用がポイントでした。ジールはマイクロソフト製品に関する高度な知見と多くの導入実績を有していたことから、すぐに私達の要望を正しく理解し、最適な提案、設計を行ってくれました」と振り返る。

導入効果と今後の展望

多種多様なデータソースの活用により、データの民主化を推進

株式会社大成情報システム デザイン&ソリューション部長
松村 将信氏

202310月から本番運用が開始されたデータカタログだが、現在では建築、営業、経理他、大きく6つのコレクションに分類され、徐々にユーザーの活用が広がり出している状況にあるという。

大成情報システム デザイン&ソリューション部長の松村 将信氏は「現時点では構造化データがメインとなっていますが、今後は非構造化データのほか、ジールが提供するオープンデータも追加し、ユーザーがデータカタログを通じてそれらを取得、掛け合わせることで、より価値のあるデータ活用、分析を行えるようにしていきたいと考えています」と今後の展望を語る。

ジールの支援のもと、利便性に加え、セキュリティやガバナンスの確保も兼ね備えたデータカタログの構築を実現した大成建設。データの民主化を押し進めることで、どのような業務変革とビジネス革新を成し遂げていくのか、引き続き同社のこれからの取り組みが注目される。

ユーザープロフィール

大成建設株式会社

創 業

1873年10月

本 社

東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 新宿センタービル

https://www.taisei.co.jp/

1873 年に創業した大成建設は、土木・建築をビジネスの中核に据えつつ、環境、エンジニアリング、都市開発、不動産など幅広い分野に事業領域を拡大させ続けてきた。2021年、業界再編や様々な外部環境の変化に対応するため、中長期的ビジヨン「TAISEI VISION 2030」を策定、将来のあるべき姿として、Construction(建設)、Development(開発)、Engineering(エンジニアリング)+Environment(環境)、Energy(エネルギー)の「The CDE3(キューブ)」カンパニーを目指している。

(写真左から)

大成建設株式会社
社長室 情報企画部 デジタル推進室 課長代理 関口 拓希氏
社長室 情報企画部 デジタル推進室 次長 林 秀明氏
株式会社大成情報システム
デザイン&ソリューション部長 松村 将信氏
デザイン&ソリューション部 チームリーダー 辻 征氏
株式会社ジール
ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット マネージャー 増田 圭亮
ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット 上席チーフスペシャリスト 永田 亮磨
ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット マネージャー 増田 圭亮
大成建設株式会社
社長室 情報企画部 デジタル推進室 課長代理 関口 拓希氏
社長室 情報企画部 デジタル推進室 次長 林 秀明氏
株式会社大成情報システム
デザイン&ソリューション部長 松村 将信氏
デザイン&ソリューション部長 チームリーダー 辻 征氏
株式会社ジール
ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット 上席チーフスペシャリスト 永田 亮磨

※本事例内容は取材当時のものです

製品ソリューション紹介

Microsoft Purview

Microsoft Purview

Microsoft Purviewは、データソースから自動的にデータを検出し、データカタログを簡単に作成できるクラウドサービスです。データソースを登録することにより、データは元の場所に残したままで、メタデータ(属性情報)のコピーや、データソースの場所などの参照が可能です。またメタデータのインデックスを作成することで、ユーザーは必要なデータを迅速に検索し利用できます。さらにグループ全体のデータの見える化を実現し、全社視点でのデータガバナンスの強化を図ることができます。

お客様が実現したいことに寄り添ったご提案をいたします。
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