1965年に創業し、普遍的な企業目的「感動創造企業」を掲げて、新たな価値を生み出すことで成長してきたヤマハ発動機。世界的バイクメーカーである同社は、二輪車の開発を起点とするパワートレイン技術、走行・航走を支える車体・艇体技術をコア・テクノロジーに、制御技術やコンポーネント技術を発展させながら、事業の多軸化とグローバル化に取り組んできた。現在、バイクはもとよりマリン製品、電動アシスト自転車、産業用ロボット、無人ヘリコプターなど、多くの製品を180の国と地域で販売しており、海外売上高比率は90%を超える。
ヤマハ発動機は、グローバルで持続的成長を目指し、需給調整の精度向上を図るうえで、消費者の需要側から見た製品や情報の流れを示すデマンドチェーンの変革に取り組んでいる。その中で浮き彫りとなった課題について、ヤマハ発動機 生産本部 生産戦略統括部 デマンドチェーン革新部 情報戦略グループ 主務 横山 研一郎氏は次のように話す。
「デマンドチェーン革新部は、市場側から取得できる販売データなどを起点にして生産や物流の最適化を図っていきます。市場側を意識せずに大量生産する手法では、消費者ニーズが多様化する中で在庫過多に陥ることもあります。また、国や地域によって売れ筋モデルも異なることから、在庫不足を招く恐れもあります。お客様が購入しようと思った時に製品をタイムリーに提供するためには、市場の状況を瞬時に察知する必要があります。顧客満足度を向上させながら、在庫量を適正に維持するには、生産計画や供給計画のレベルを向上させる必要があり、そのためには鮮度の高い情報を得ることが必要不可欠でした」(横山氏)

生産本部 生産戦略統括部 デマンドチェーン革新部 情報戦略グループ 主務
横山 研一郎氏