データブリックス・ジャパン株式会社主催の「Data + AI World Tour Tokyo」が、2024年11月14日(木)に開催されました。今回ダイヤモンドスポンサーとして参加したジールは、「株式会社ニコン様の業務ユーザの79%の業務改善を実現したデータブリックスでのAI・データ活用戦術」という講演を行いました。今回も突撃隊長ウエムラがイベントに参戦しましたので当日の内容をレポートします。

 

概要

名称       2024年11月14日(木)10:00~20:00
会場       ANAインターコンチネンタルホテル東京 〒107-0052 東京都港区赤坂1-12-33
参加条件     無料・事前申し込み制
主催       データブリックス・ジャパン株式会社
URL       https://dataaisummit.databricks.com/flow/db/wt24nrt/reg/page/landing

 

会場

今年何度目になるのかな?今回もANAインターコンチネンタルホテル東京に到着しました。

早速受付をすませ、モーニングセッションを聴くためイベント会場へ急ぎました。
エスカレーターを降りていくと会場のマップとタイムテーブルが表示されておりました。

Databricks の分析部分のAIについて情報収集を行うため【データとAI で生産性を高める新しい業務オペレーションの形】と【ゼロからはじめる入門Databricks !】を聴講しました。この分野について、最近「使ってみましたシリーズ」でも扱いましたが、色々と勉強する機会に恵まれております。そのため他社製品の比較をしながら話を聴くことが、イベント参加の楽しみの一つになっています。

講演後、気になる機能についてDatabricsのブースで色々と説明を聞いていたら、あっという間に13時になってしまいました。お腹がペコペコでしたがお昼をいただいている時間がなーい、ということで、コーヒーとクッキーをいただき基調講演を聴講しました。

美味しいクッキーが数種類用意されており、暖かいコーヒーと一緒にいただきました。

 

基調講演

講演中の撮影が禁止だったので、講演前にステージを撮影しました。
今回の基調講演も、興味深い内容でした。要約してご紹介いたします。

 

登壇者

笹 俊文氏 代表取締役社長, データブリックス・ジャパン株式会社

日本企業のデータとAI活用状況を説明し、Databricksの「Data Intelligence Platform」がその支援を行うと述べました。データの信頼性、セキュリティ、プライバシー、ガバナンスの課題に対処する必要性を指摘し、生成AIの活用について議論が進んでいることに言及しました。

データのサイロ化解消がAIイノベーションに重要であり、Databricksのプラットフォームがこれらの問題に取り組むと強調し、企業のAI活用には、セキュリティとプライバシーの確保が重要で、「レイクハウスアーキテクチャ」がデータの断片化解消に有効だと述べました。

Databricksは、Delta LakeとApache Icebergを統合し、「Unity Catalog」を提供することで、データの重複を避けつつセキュリティとガバナンスを担保し、これにより企業はデータの価値を最大化しビジネス成長を促進できるとのことでした。

最後に、Databricksのプラットフォームはマルチクラウド環境に対応し、コストパフォーマンスに優れていることを述べていました。

 

シャフィーク氏 最高執行責任者 (COO), Databricks

Databricksのミッションは、データAIの民主化を、みなさんの組織内で行い、データインテリジェンスAIをお手伝いすることだとし、企業がデータとAIを活用してビジネス変革を実現する重要性を強調し、Databricksの「Data Intelligence Platform」がその支援を行うと述べられました。

また、データの信頼性、セキュリティ、プライバシー、ガバナンスの課題に対処する必要性を指摘し、生成AIのユースケースや社内での活用方法について議論が進み、データのサイロ化を解消することがAIのイノベーションにとって重要であり、Databricksのプラットフォームがこれらの問題に取り組み、イノベーションを加速させると強調しました。

 

ジョナサンナラキ氏 Head of AI, Data & Analytics, Information Systems, ルネサスエレクトロニクス株式会社

日本ではクラウドにデータを上げることに対して、不安感があるように感じますが、今やクラウドはスキルを強化できるようになってきていると述べていました。データのみならずAIと一緒にワンプラットフォームで使えるクラウドは、大事な要素だと仰っていました。

そのほか、Genieのデモもありました。このGenieというのは、DatabricksのAI/BIスペースということで、ビジネスチームが自然言語でデータを操作できるようにする機能です。このツールは、組織の特定の用語とデータに合わせて調整された生成AIを活用し、ユーザーからのフィードバックを通じてパフォーマンスを監視および改善することができるのだそうです。

デモを見た感想は、自然言語入力とクリックだけでデータを可視化し、簡単にダッシュボードが作成できるツールでした。とても分かりやすいデモでしたのでイメージしやすかったです。お写真をアップできないのが残念でした。

 

お昼

諸々の講演を聴き終え、ようやくお昼をいただきました。今回も安定のまい泉です。すずらんを美味しくいただきました。

 

スタンプラリー

9箇所のブースを回ると1つ景品がもらえます。
全ての景品はこちらになります。

色々なお話を伺い、18ブースをコンプリートして2つ景品をいただきました。

 

ジールブース

基調講演後、会場を退場される流れの先にジールブースがあり、今回も多くのお客様がお立ち寄りくださっていました。みなさまご興味を持ってくださり、どうもありがとうございました。ジールスタッフ一同、心より感謝申し上げます。

 

ジールセッション:【ニコン様ご登壇】業務ユーザの79%の業務改善を実現!データブリックスでのAI・データ活用戦術(プロジェクトの成功要因・方法論)

基調講演を後にし、ニコン様の先進技術開発本部 数理技術研究所 第三研究課 課長西野様とジールの田畑さんのセッションを聴講しました。こちらも内容を要約してご紹介いたします。
ジールの講演内容は以下とのことで、「データブリックスでのAI・データ活用戦術」についてご紹介していました。

「株式会社ニコンでは、数理技術の専門部隊として数理技術研究所が設立されており、第三研究課では事業部門のお悩みをデータや先進テクノロジーの力で解消すべく活動しています。本講演の中では、日ごろ様々な事業部門に対してデータ活用支援を行ってる中の1つの成功事例をご紹介します。

本事例はジールと協力して業務改善に取り組み、実際に79%のユーザの業務改善を実現した事例です。 プロジェクト開始当初はIT経験のない業務部門、効果の不透明な活動が故の低予算推進、AI への高い期待値など様々な課題がありました。

講演の中ではIT 経験のない業務部門と業務知識のないベンダーとの溝を埋める協力体制について、また効果が出るデータ活用のプロジェクトの流れについて、さらにプロジェクトに直接関わっていない利用ユーザの巻き込み方について、最後に、データ活用におけるDatabricksの魅力についてをユーザ目線、ベンダー目線からお話します。」

出典:Databricks.セッション|【ニコン様ご登壇】業務ユーザの79%の業務改善を実現!データブリックスでのAI・データ活用戦術.https://dataaisummit.databricks.com/flow/db/wt24nrt/scheduler/page/catalog?search=%22%E5%B3%B0%E4%B9%8B%20%E6%B0%8F%20%E8%A5%BF%E9%87%8E%22&tab.sessionsforscheduler=1713464244829001MIfa

 

講演者

西野峰之氏
株式会社ニコン
先進技術開発本部 数理技術研究所 第三研究課 課長


出典:Databricks.スピーカー|西野峰之 .株式会社ニコンhttps://dataaisummit.databricks.com/flow/db/wt24nrt/scheduler/page/catalog/session/1728377839483001Xsew

田畑知也
株式会社ジール
アプライドアナリティクス&インテリジェンスユニット シニアコンサルタント

出典:Databricks.スピーカー|田畑知也 .株式会社ジールhttps://dataaisummit.databricks.com/flow/db/wt24nrt/scheduler/page/catalog/session/1728377839483001Xsew

ニコン様のデータ活用の取り組み

西野さん:ニコン数理技術研究所(以下、数理研)のデータ活用の取り組みは、ニコンを支える基礎技術と研究開発体制があり、基礎技術をデジタル・データの力で支援するのが数理研のミッションとなっています。私の所属する数理研は複数の事業部門を横断的にサポートすることで、全社のデータ活用を活性化しています。

本日はLLMを使った事例で、業務ユーザの79%の業務改善を実現したお話をご紹介します。この改善プロジェクトがスタートした背景は、2年前ChatGPTの登場で世界が変わり始めた頃、ジールと一緒に自然言語プロジェクトを行っていました。そのご縁で、この成果を実務に活かせるのではないかということで本取り組みが始まりました。

 

ニコン様の成功事例

田畑さん:このプロジェクトの取り組みは、ニコン様のとある事業部門から数理研に相談がありスタートしました。当初は数理研とジールでDatabricksのサンプルデータを使った機械学習の技術要素の整理を行い、検証・実装を行っていました。


出典:ジール.【ニコン様ご登壇】業務ユーザの79%の業務改善を実現!データブリックスでのAI・データ活用戦術.講演資料

田畑さん:具体的には、ExcelのチェックリストをDatabricksに取り込み、OpenAIでタスクを実行し、Databricksに蓄積しておきます。最後にAzure OpenAIで生成したクラス分類、翻訳、要約、類似度順での並べ替えなどの情報を追加したExcelチェックリストを出力したというのが本プロジェクトです。これにより、チェック業務の負荷が79%も改善されました。


出典:ジール.【ニコン様ご登壇】業務ユーザの79%の業務改善を実現!データブリックスでのAI・データ活用戦術.講演資料

はじめは課の単位でスタートし、一定成果を得られたことで次に部として取り組むというスケールアップを行い、事業部単位で横展開を行うことが今後のニコン様のプロジェクトの計画になるそうです。これは、データの利活用には理想的な展開だそうです。

 

2つの課題と対応の秘訣

次にニコン様の課題を2つご紹介されていました。

田畑さん:ニコン様の課題は大きく2つありました。

<課題1>

結果と効果が不透明がゆえの低予算プロジェクトであったので、費用対効果を示す必要があったが、数字として提示するのが難しかった。

<効果>
最終的にやってみないことには効果は分からないということになったため、素早く小刻みに成果を上げる「スモールスタート・クイックウィン」を実行した。

 

スモールスタート・クイックウィンのロードマップ

田畑さん:スモールスタートのロードマップは、手探り期、実装機、改善期の3つのステップで進みました。

①手探り期
ここは一番苦労した部分です。PoCなどアイデアを出しながら施策を検討した結果、徐々に業務ユーザの「AIでできること」の認識がクリアになりました。妥協点を意思決定していただいたり、事業部門のメンバーに500個の正解データを作成してもらいました。正しい学習データが多いほど精度は上がりやすいのですが、予算の中でも最善を尽くしました。

②実装機
アイデアに優先順位をつけ、限られたリソースで最大の価値を目指しました。そしてできるだけ早く使っていただくため、作ることを優先しドキュメント作成は最小限にしました。その結果、小刻みでアウトプットし成果を見せることで協力してもらいやすい体制が整いました。

③改善期
現場メンバーからの要望改善やAI精度の向上を目指しました。
良かった点は、小刻みにユーザに効果を示すことで協力してもらえる体制作りができ、ユーザに取り組みを理解してもらうことで積極的にアイデアや意見を貰いやすい状態を作ることができたことです。Databricksはデータ活用に欲しい機能がオールインワンで装備されているため、今回の開発に最適な製品でした。

 

<課題2>

事業部門とベンダーがお互いの専門知識・経験がないのでコミュニケーションが難しかった。

<効果>
数理研に間に入っていただくことで、知識・経験を補完し合う体制作りを目指したことによりプロジェクトが円滑に進むような体制作りに成功しました。

 

ニコン数理研のデータ活用の現状とこれから

西野さん:Databricks導入前は、個人のPCの環境(Jupyter notebook)へデータをコピーし必要な前処理や分析を行っていました。そのため、データだけでなく開発の重複が散見し、個人環境であるため情報は閉じられ進捗が不鮮明、また個人のPCで開発したものを本番環境で動かしたところ動かず、仕様書を書いてシステム部門に開発を依頼するなど、時間を要するなどの課題がありました。

Databricks導入後は、データの共通化から移行をスタートしました。現在は課の開発業務の9割方はDatabricksで実施されています。先ほどの課題は解決しましたが、開発から運用、運用から開発をよりシームレスにつなげたい(MLOps)という希望などが新たな課題として出てきました。

今後は、各事業部で得られた開発ナレッジをリファレンスモデルに還元し、他の事業部にも展開していく予定です。

 

まとめ データ分析プロジェクト推進に必要な要素

業務部門とジール(ベンダー)の仲介役に数理研が入ってくださったことで、下記の3つがカバーできたそうです。

田畑さん:まとめると下記の3つです。

①業務知識:業務知識、経験
②AI機械学習のスキル:AIロジック、データ分析、改善力
③システム開発スキル:プロジェクトマネジメント力、Databricksの知見、IT技術、システム運用経験

田畑さん:今回のプロジェクトは、クイックウィンで細かく成果上げ、現場メンバーをうまく巻き込めたことが功を奏しました。また課題を「捨てる」決断をしたことで、低コストでプロジェクトを進めることができました。さらに、事業部門・数理研・ベンダーの三者体制でコミュニケーションを円滑にできたことが成功の要因でした。

 

講演を聞いて、Databricksの導入は、データ活用に欲しい機能がオールインワンでパッケージングされており、Databricksだけで処理が完結できる最適解だということが良くわかりました。
また講演後、田畑さんになぜデータ分析をPower BI で行ったのか聞いたところ、ニコン様で、すでにお使いの製品だったからだそうでした。

Databricksの詳細はこちらをご覧ください。
https://www.zdh.co.jp/products-services/dwh/databricks/

ジール、データブリックスの「Databricks APJ Partner Executive Forum」において「APJ Migration Partner of the Year 2024」を受賞しております。
https://www.zdh.co.jp/topics/20240924/

またジールでは「Databricks Champion」認定の社員が在籍しております。
https://www.zdh.co.jp/topics/20241114/

 

本日いただいたもの

primeNumber様のスナックは、いつも楽しみにしています。
ファイブトラン様のTシャツ、昼ランをするわたくしには本当にありがたいです。また、スタンプラリーでいただいたルービックキューブですが、倅たちがいじりだしてしまい揃っていません(笑)
各企業のみなさま、どうもありがとうございました。

 

感想

昨年に比べてお客様の数は多かった様に感じました。
講演ではDatabricksの強みとして、データの統合と分析をシームレスに行えるプラットフォーム「Data Intelligence Platform」が挙げられていましたが、これにより企業はデータの価値を最大限に引き出し、ビジネスの成長を促進することが可能になり、データとAIの活用が企業の競争力を高める重要なツールであるということがとてもよくわかりました。

あ、そういえば・・・、昨年Databricksが「ChatGPT」と似た機能のオープンソースの生成AIモデル「Dolly(ドリー)」を発表していました。昨年のスタンプラリーではドリーちゃんがTシャツとなって登場していたのですが、今年はドリーちゃんの「ド」の字も聞きませんでした。
ドリーちゃん、どこ行ったの〜。あぁDatabricksの関係者の方に伺えばよかった。次回聞いてみようと思います。


▲ひつじのDollyちゃん(昨年の記事より)

セミナー突撃レポートシリーズ 第2弾 ーデ―タブリックス DATA + AI WORLD TOUR TOKYO 潜入してみた編
https://www.zdh.co.jp/bi-online/event-datablicks-20231117/

 

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Databricks Marketplaceにて、ジールのオープンデータ提供サービス「CO-ODE(コ・オード)」のデータ提供を開始しております。詳細はこちらをご覧ください。
https://www.zdh.co.jp/products-services/external-data/co-ode/

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詳細はこちらをご覧ください。
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