公開日:2025年5月30日

更新日:2025年5月30日

「社内のDXを進めたいが、DX人材やリソースが不足していてなかなか取り組めない」という理由で、DXコンサルティングの利用を検討している方もいるのではないでしょうか。企業におけるDXの取り組みは、今後ますます重要性を増していくと予想されるため、DXコンサルティングを活用するのは有効な方法です。

そこで本記事では、DXコンサルティングの役割と重要性、メリット、導入する際の注意点、DXコンサルティング会社の選び方について解説します。DXコンサルティングについて詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

DXコンサルティングの役割

DXコンサルティングとは、企業に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や支援を行なうコンサルティングサービスです。企業や組織がデジタル技術を活用し、業務プロセスや顧客対応、組織運営などを効率化し、競争力を強化するための支援を行ないます。

具体的には、ITインフラの最適化、データ分析の導入、クラウドサービスの活用、デジタルマーケティング戦略の策定など、幅広い分野にわたるコンサルティングが含まれます。

DXとは、ただ単にツールを使ってデジタル化することではありません。デジタル化による製品・サービス、ビジネスモデルの変革がDXの真の目的であり、これらの実現に向けて企業をサポートする役割を担うのがDXコンサルティングです。

DXコンサルティングの基本ステップ

DXコンサルティングの進め方やアプローチはコンサルティング会社によってさまざまですが、一般的には以下のステップで進められます。

それぞれみていきましょう。

1. ビジョン策定・戦略立案

最初のステップでは、DXの目的やゴールを設定し、企業の長期的なビジョンを明確にします。DXの取り組みが企業の将来にどのような影響を与えるのかという点や、企業文化や価値観との整合性を考慮し、全社的に共有できるビジョンを設定することが必要です。

ビジョンを明確にしたら、デジタル技術を活用して解決するべき課題や実現したい価値を具体化し、中長期的なDX戦略を策定します。例えば、どの業務領域やプロセスを優先してデジタル化すべきかといった重点領域の決定などが必要でしょう。

2. システム開発

企業のニーズに合わせて適切な技術の選定や開発プロセスの設計を行なうことも、DXコンサルティングにおける重要なステップです。具体的には、ソフトウェア・アプリケーションの開発やクラウドサービス導入の支援、データマネジメントの構築サポートなどが挙げられます。

要件定義から設計、技術選定、開発プロセスの最適化、テスト、導入、運用・保守までの包括的なサポートを受けられるため、DXの推進を加速させることが可能です。

3. 実行支援

実行支援では、策定したDX戦略や計画を現場で実際に実行するための具体的なサポートを提供します。単に計画を立てるだけでなく、実際の業務やシステムに変革を適用し、企業全体でのDX推進を促進することが目的です。

具体的には、戦略の実行段階における課題解決やプロジェクト管理、業務プロセスの再設計、システムの導入・統合など、計画を確実に成果に結びつけるための支援を行ないます。

4. 組織づくり

DXを成功させるためには、企業の組織構造や文化、業務プロセスを適応させる必要があります。デジタル技術の導入だけでなく、それを活用できる組織に変革させて、DXの効果を最大化することが目的です。

具体的には、組織体制の見直しや企業文化の変革、変革への抵抗感を軽減するための施策実施や成功事例の共有といった組織のチェンジマネジメントが中心となります。

5. 人材育成

DXコンサルティングでは、デジタル技術の習得支援やリーダーシップ開発、デジタルマインドセットを醸成し、組織全体のデジタル対応力を強化するためのサポートも行ないます。

具体的には、AIやデータ分析などのスキル習得、変革をリードする人材の育成、職務再設計、新たなキャリアパスの構築支援などが挙げられます。

これらのサポートを通じて従業員がデジタル化の推進役となり、DXの成功と持続的成長を実現させることが目的です。

DXコンサルティングで得られる5つのメリット

企業がDXコンサルティングを取り入れることで得られるメリットはさまざまです。ここでは、代表的なものを5つご紹介します。

自社にDX人材が必要ない

DXコンサルティングを活用すれば、自社にDXを推進できる人材がいなくてもリソースを迅速に確保することが可能です。

特に、これから本格的にDXを導入する段階に入る企業では、適切な知識を持った人材が不足している、もしくはまったくいないというケースも多いでしょう。知識が不十分な自社の社員が手探りで進めると、膨大な時間や手間がかかり、本来の業務に支障をきたすこともあるかもしれません。

DXコンサルティングを活用すれば、DXの推進を効率化できるだけでなく、専門家による適切なアドバイス・サポートを受けられるためDXの成功率が高まります。

効率的なデータ利活用が可能になる

データは企業の重要な資産であり、適切な活用がDXの成功には不可欠です。しかし、社内に正しくデータを扱える人材がいなければ、どれだけ有益なデータを保持していても意味がありません。

DXコンサルティングを受ければ、専門知識を持った人材が適切かつ効率的なデータ利活用のサポートを行なってくれます。DXコンサルタントが現状を客観的に整理してくれるため、これまで気付かなかった課題も明確化しやすくなるでしょう。

第三者視点が得られる

利害関係のない第三者的な視点が得られ、中立的な立場でDXを推進できる点もDXコンサルティングのメリットです。

自社のみの閉じた環境でプロジェクトを進めていると、本来の目的とは別に社内の政治的な関係によって、発言や意思決定が左右されるケースも考えられます。DXの知識に長けた将来性の高い人材を育てるためには、第三者的な立場で俯瞰してDXを推進できる社外人材のサポートが有用です。

DXコンサルタントが介在することによって、企業はこれまでにない新たな視点やアイデアを得られるため、成長戦略の効果的な策定やスムーズな課題解決などが可能になります。

ノウハウを蓄積できる

DXコンサルティングの導入は、業界最先端のデジタルツールの情報や知見など自社にはないノウハウやスキルを得るための大きなチャンスでもあります。専門知識やベストプラクティスの導入を通じて、業務プロセスやデータ利活用の改善が可能です。

また、コンサルタントとの協働によって社内の知識・技術水準が高まり、継続的な改善の仕組みが整い、今後社内でDXを推進していくための下地を構築できるでしょう。ノウハウが蓄積されれば、長期的な成長と競争力の向上が期待できます。

DX人材を育成できる

自社のDX人材を育成できる点は、DXコンサルティングの大きなメリットの一つです。

今後IT人材は不足してくることが予想される ため、専門的な知識・技術を備えたDX人材はより希少性が高まっていくと考えられます。将来有望なDX人材を育成できれば、市場から取り残されるリスクも回避できるでしょう。

また、DXを成功に導くためには、専門人材のみならず従業員一人ひとりのデジタルスキルの向上が不可欠です。DXコンサルティングでは、DXに必要な教育やトレーニングを通じて、組織全体のITリテラシーを高めることができます。従業員が新しい技術を効果的に活用できるようになれば、イノベーションを強力に推進していくことが可能です。

DXコンサルティングを取り入れるべき企業【大手・中小企業】

DXコンサルティングにはさまざまなメリットがあり、業種や規模(大手・中小企業)を問わず、さまざまな企業にとって有益です。特に以下のような企業はDXコンサルティングを取り入れることをおすすめします。

それぞれ解説します。

DXを推進できる人材が足りずDX化が進まない

「DXを推進する人材がまったくいない」「ほぼゼロからスタートする」という企業はDXコンサルティングを導入したほうが良いといえるでしょう。

DXを推進する人材がいなければ採用する必要がありますが、そのための時間確保やコストの捻出は決して容易ではありません。

特に中小企業は人材採用が追いついておらず、DX化にまで手が届かないケースも多くあります。

DXコンサルティングを導入すれば、迅速にリソースを確保でき、DX化が後手に回ることもないでしょう。むしろ、DXに精通したスペシャリストの知見やスキルを得られるため、最短ルートでDXを成功させることが可能です。

データの利活用ができていない

データの利活用がうまくできていないという企業は、DXコンサルティングを導入することで課題解決の可能性を高められます。

日々変化する市場ニーズに対応するためには、データの利活用が必須です。しかし、デジタル技術の知見や経験がある人材がいない企業では、ただデータが蓄積するばかりで施策に活かせていないことが多いでしょう。実際に「データの利活用において成果を得ている」と認識している企業は非常に少ないのが現状です。

DXコンサルティングは幅広いサポートを提供している場合もありますが、特にデータの利活用の課題を抱えているのであれば、その分野に強みを持った会社を選ぶのがおすすめです。

データ活用におけるDXコンサルティングを導入する際の注意点

DXコンサルティングを導入する場合には、押さえておくべき注意点がいくつかあります。この注意点を考慮し、適切な計画と準備を行なうことで、DXの成功確率を高められます。

先述したように、DXを推進していくためにはデータの利活用が非常に重要です。ここでは、データの利活用に関する課題解決を目的として、DXコンサルティングを導入する場合の注意点について解説します。

経営層が組織全体に強くコミットする

DXコンサルティングを導入する際は、経営層がDXを推進する必要性やビジョンを明確に打ち出し、組織全体に浸透させる必要があります。

ビジネスの大規模な変革を目指す組織全体のDX化を、特定の部門だけで成功させるのは難しく、社内の各部門や外部のステークホルダーの協力が不可欠です。周囲の協力を得るためには、DXに取り組む意義やその効果を社内でしっかりと共有し、理解を深めることが重要です。

さらに、外部のDXコンサルタントを招く際には、社内のシステム部門などから反発が生じる可能性があります。社内の理解を得るためには、経営層が率先してDXコンサルティングの導入目的やその重要性を説明する場を設けることが必要です。DXコンサルタントが持つ専門的なスキルを最大限に活かすためには、このような環境づくりが欠かせません。

社内のDX担当者を決める

DXコンサルティングの効果を最大限に引き出すためには、DXコンサルタントと社内の橋渡し役となれる人材を担当者として選任することが重要です。

DXが失敗する事例として、「現場や取引先がITやデジタル技術に慣れていないために変革が進まなかった」というケースは少なくありません。そのため、現場やステークホルダーとの調整を行なう社内のDX推進担当者の存在は非常に大きいものだといえます。

担当者にはITやデジタルの知識に加え、社内の状況を深く理解していることや、ステークホルダーと円滑にコミュニケーションできるスキルが求められます。もし適任者がいない場合は、若手を育成することも視野に入れましょう。

ただし、DX担当者にすべてを任せてしまうと、負担が大きくなりプロジェクトが頓挫するリスクがあります。担当者の負担に応じてサポートできる人材を配置するなど、適切な体制を整えることが重要です。

DXコンサルタントに任せきりにしない

DXコンサルタントの役割は、あくまでアドバイスの提供やバックアップです。実務を一部依頼することもありますが、すべての業務を任せる存在ではない点を理解しておきましょう。

また、コンサルタントのアドバイスどおりに進めたからといって、必ずしも成功するとは限りません。重要なのは、事前に社内で課題を整理し、目標を明確にしておくことです。そのうえで、現場で実行可能か、ステークホルダーの協力を得られるかといった点を考慮しながら、社内の視点で慎重に判断する必要があります。

また、DXは長期的な取り組みであるため、DXコンサルティングを依頼する場合でも定期的に中間成果を評価し、進捗状況を確認することが重要です。経営層を含めた社内全体でDXの重要性や目標をしっかりと共有し、プロジェクトを推進する体制を整えておきましょう。

データ活用におけるDXコンサルティング会社を選ぶ2つの軸

DXコンサルティング会社を選ぶときの重要な軸は以下の2つです。

この2つを判断軸にすることで、自社のニーズに合ったパートナーを見つけることができ、プロジェクトを成功に導く可能性が高まります。

DXコンサルティング会社の「得意領域」で選ぶ

DXコンサルティング会社には、「戦略系コンサルティング領域」「システム開発領域」「サービス・プロダクトのDX化領域」などそれぞれ得意とする領域があります。そのため、DXコンサルティング会社を選定する際は、自社のニーズとその専門分野が一致しているかを確認することが重要です。

例えば、戦略系コンサルティングが得意な会社は、DX戦略の設計から最新技術の導入に至るまで幅広く対応可能です。DXの方向性が不明確な場合や、戦略立案から支援を受けたい企業に向いています。

システム開発に強みを持つコンサルティング会社は、自社に開発リソースが不足している場合や、設計はできても開発まで対応するのは難しいという企業におすすめです。

すでに自社でサービスや製品を持っており、それをDX化して具体的に進めていきたいと考える企業には、サービス・プロダクトのDX化に特化した会社が適しているでしょう。

DXコンサルティング会社の「開発実績」で選ぶ

DXコンサルティング会社が公開している実績や導入事例も、選定の際の重要な判断軸になります。

実際には、DXコンサルティング会社の得意分野や強みを確認しても、自社のニーズに合っているか判断しにくいケースは少なくありません。また、たとえ得意領域と自社のニーズがマッチしていたとしても、実績が不足していると細部において認識のズレが生じる可能性があります。ミスマッチを防ぐためにも、同業他社へのコンサルティング実績や事例などは事前によく確認しておきましょう。

特に、他社の導入事例を紹介する詳細なインタビュー記事などがあれば、目を通しておくと参考になります。自社の希望に近い事例や実績を持つコンサルティング会社が見つかれば、詳細について問い合わせてみるのがよいでしょう。

ジールのDXコンサルティングサービス「構想策定コンサルティング」の特長

ジールのDXコンサルティングサービスは、「データの利活用」が強みです。ジールの提供するコンサルティングのステップは一般的なものとは異なり、データの利活用に課題を抱えている企業に特化したものになっています。

長年データ領域を専業としていたため、知識の専門性は大手コンサルティングファームよりも優れており、AI領域にも精通しています。加えて、入口(要件定義)と出口(リリース後運用時)の両方でしっかりとサポートできる点も強みです

例えば、以下のような疑問や課題を抱えている企業は多いのではないでしょうか。

  • 要件定義段階では…
    「アーキテクチャーやテクノロジーに落とし込むときにどのようなコンポーネントが必要?データベースがグループ各社で違う場合にはどうしたらいい?」

  • 基盤構築後は…
    「生成AIを少し取り入れてみたけれど、現場でうまく使いこなせていない…。もっと活用するにはどうしたらいい?」

要件定義段階では、3年後のありたい姿までロードマップを描き、DX化のサポートを行ないます。さらに、クライアント様が業務を高度化するタイミングで再度コンサルティングを行なうため、基盤構築後の運用も安心です。

まとめ

企業が市場競争力を維持・向上させるためには、デジタル技術を活用した業務改革が不可欠です。DXコンサルティングを活用すれば、DXを推進するための専門的なサポートを受けられるため、業務の効率化や新たなビジネスモデルの構築が可能になります。

特に、変革を目指す企業やデジタル技術に不安を感じる企業にとって、DXコンサルタントは重要なパートナーとなるでしょう。コンサルティング会社を選ぶ際は、実績や専門領域、提供するサービスの範囲を確認し、自社のニーズに合ったコンサルティング会社を見つけることが成功の鍵です。

ジールのDXコンサルティングサービス「構想策定コンサルティング」サービスでは、データの利活用に課題を抱えている企業のDX推進をサポートします。

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