公開日:2022年6月15日

更新日:2022年6月15日

このコラムは、Voicyをテキスト化し一部抜粋したものです。
今回は食品会社のシステム部に所属しているたけさんに、Qlik Sense というBIツールの導入に奮闘されたお話をインタビューにした記事です。

 

自己紹介

SE業界とデータ関連のコンサルティング会社の2社を経験しています。1社目ではBIツールを用いたデータ分析を行い、2社目ではデータ分析を活用したコンサルティングを行っていました。現在は食品会社に勤務し、社内の基幹システムの売上データ、研究データ、社外のデータなどの売れ筋のデータを Qlik Sense で確認できるように整備しています。
現在の会社への入社理由は、データを使って事業会社の売上・利益に貢献すること、また、売上・利益に貢献できるようなデータ分析を行いたいという想いからです。

Qlik Sense の導入経緯

私が入社する前の会社の状況は、既にBIツールを導入していましたが、CSV出力で可視化にフォーカスしており、社員自身が自由に使えるBIツールへの転向を検討しているところでした。
そのタイミングで私が入社し、BIツールの選定が本格始動していきました。選定方法は、30種類のBIツールからトライアル可能なツールをピックアップし、1か月間全製品を試した中で、最終的に2つのツールに絞りこみました。

トライアル中は本を参考にしたり、メーカーからサポートを受けたりしました。社内での選定のポイントは、「画面の設計しやすさ」を一番に考え、営業や生産の現場の方が使いやすいものとしてQlik Sense を選定しました。

▶Qlik Sense について
https://www.qlik.com/ja-jp

Qlik Sense との出会い

私が Qlik Sense に初めて触れたのは1社目のSE時代です。当時、大学向けのシステム導入や提案の中で、履修登録など学生生活に関わるあらゆるデータを扱っていました。その中で大学の経営層へアプローチするため、蓄積されていた入試のデータを活用したデータ分析プロダクトをリリースしました。その時に利用していたBIツールが Qlik View でした。

この時は、「出来上がった画面がすごく綺麗!色々なことを表現できる!」という印象でした。一方で、お客様が求めている画面を Qlik View で作り上げることは非常に苦労を強いられました。特に関数の組み込みやデータのロード(読み込み)などはスキルがないと使いこなせず、また実際のデータがきれいに入らないことも多いので扱いづらいなど次々と課題があがりました。

よくある例ですが、住所で東京都大田区〇〇というデータから都道府県だけを抜き出す場合があります。
データのロードの際に「東京都」のみを抽出するために「都/道/府/県」の文字のいずれかを条件にしますが、「京都府」は県名に“都”と“府”があるため、イレギュラー処理を行わないと正しく抽出できません。そういった時にはロードの設定方法を検討して進める必要がありました。

また西暦と年度の表示※に関して2020年3月を例にすると、西暦では2020年と表しますが、年度では2019年度と表示するため、西暦と年度間のずれが生じます。人間だと簡単に処理できるものでも、システム上でそれを理解させるためには、年度の設定をしなければなりません。
※ここでは4月が期初の場合

そういった問題をひとつずつ理解し Qlik View で実装していく中で、スキルは自然と身に付きました。納品後も画面を見ながらお客様の要望に合わせた分析画面の修正を求められたので、経験の中で得た知識は更に深まっていきました。

BIツールのメリットを問われた時に、「定型レポートが楽になります」と答えることが多いです。定型レポートから先は相手とのディスカッションが重要で、構成別、商品のカテゴリ別という様に相手側の視点に立ちながら話をしていくと具体的に表示したいものが見えてきます。

製造業の場合、これまでは定型フォーマットにより決められた軸でデータを見ていましたが、最近は売れ筋商品における、店舗別分析や過去との比較など多角的な議論へと変化しています。また現場が求める定型レポートを作り、一緒に確認しながら話をスタートさせます。すると上層部が求める具体的な要望も聞きだすことができます。

BIツールを用いて楽しいこと

データ分析が<楽しい>と思えるようになった出来事は、お客様が可視化されたデータを見て「やっぱりデータを見てこの判断が正しかった!」と言われた時です。この意見が出るとその先の展開が見えてくるので、お客様の分析軸もどんどん広がりますし、BIツールはそれらを短期間で表現できるため、満足いただけた時は心底うれしいです。またお客様に「私も前からこう思っていたんだよね」と言わせたら勝ちです!!

勘と経験で進めて行くと、根拠がないため多数派の意見が通ることがありますが、データを可視化して提供することでお客様が本来表現したかった事を明示でき、さらに意思決定に繋げていく事ができます。それが達成できた時は仕事をしていてとても楽しい瞬間です。

※Qlik View と Qlik Sense の違い(参照元の原文のままです)

▶Qlik View

ガイド型アナリティクスに基づいています。アプリケーションは、データ モデル、レイアウト、チャート、方程式をよく検討する Qlik View ドキュメント開発者によって作成されます。彼らはアナリストにアプリケーションを提供します。アナリストは、データの探索、選択、またはドリルダウンを自由に行うことができます。ただし、新しい視覚化の作成に関しては制限があります。

▶Qlik Sense

セルフサービスのデータ ディスカバリを提供します。アナリストは、新しいアプリ、視覚化、ブックマークを自由に作成できます。これにより、よりアクティブで活動的なユーザーが生まれます。Qlik Sense アプリ開発者がすべてのユーザーのニーズを満たすスクリプトを作成する必要がないため、最初はデータ開発が少ないことを意味します。さらに、Qlik Sense はタッチ スクリーンではるかに使いやすく、さまざまな画面サイズやフォーム ファクターに適応しています。Qlik Sense は、他のツールやテクノロジーとうまく統合できるよりモダンな製品です。

(参照元)
https://help.qlik.com/ja-JP/qlikview/May2022/Content/QV_HelpSites/Difference-qlikview-qliksense.htm#

社内での反響

社内でQlik Sense をBIツールとして推進する指針が出てから、早急に導入を進めたいと希望する部門が2つあり、半年でBIツールの導入を完了しました。その後、成果を報告する事例共有会を開催したところ約70人が興味を持って参加してくれました。
事例共有会ではこれまでBIツールを用いることで業務の効率化を図ることができたり、今まで見えなかった気づきを発見できたことなどを説明しました。すると開催後のアンケートで15部門が導入希望であることが判明したので、すべての部門に対してヒアリングを行いました。その中で優先順位を決めて、次の期に4部門に対して導入を進めました。今も多くの部門から導入したいという声が上がっています。

BIツールを社内に浸透させる3つの極意

  1. 部門の垣根を越えてフランクなコミュニケーションをとる
  2. スモールスタートから成功事例を作って横展開する
  3. 各部門の中で、やる気やデータの勘・センスがある人とつながる

日ごろから特に意識していることは「言われた通りに画面を作らない」という点です。その理由は、リクエストしている側の潜在的な部分を汲み取って反映したいからです。会社にいる以上は会社の利益を上げることが第一目標です。そのために会社と部門間をどう繋げられるかを考えるのがカギになります。ですが、そこへ行きつくためには相手と本音を言い合える関係性を築かなければいけません。いきなり数字の話をしたところでお互いを分かり合えるはずもないので、相手と自分の共通の話題を見つけてまずは打ち解けるところからスタートします。

「Excelの集計は大変ですよね」、「我々お互い転職組ですね」など共感を得られそうな話、または趣味の話など。
こんな会話をしていくと相手も心を許してくれるようになり打ち解けられます。すると「この売上が全然上がってないのはわかっているけど、どうしていいかわからなくて」と相手が胸の内を話してくれるようになり、そういった部分を引き出せたらそれを画面に反映してあげることができます。

私は、データ分析を広げていくのは自分の責務だと考えていました。やはりその原動力となったのは先ほどの事例共有会です。開催してしまえば人が集まることも分かっていましたし、こんなことがやりたいという声もキャッチしていましたので、社内的に取り組めばデータ分析は広がっていくと確信があったからです。

今後の野望

BIが社内で浸透しつつあるので、全社展開できたらいいなと思う一方で、次はAIの領域を広げていきたいと思っています。一般的に見ると AI に対して敷居が高いイメージがありますが、世の中にはもっとラフに使えるAIプラットフォームが出ています。これらを活用して BI 同様に社内で導入して予測の分野も取り組みたいと考えています。

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