公開日:2023年6月1日

更新日:2023年6月1日

BIシステムとは、組織内のデータを収集、整理、分析し、その結果を可視化するための情報技術(IT)ツールとプロセスのことです。 このページでは、BIシステムの歴史、トレンド、そしてビジネスの意思決定のプロセスを効率化し、競争力を向上させる機能として のBIシステムについてご紹介しています。

 

はじめに

「BI(ビジネスインテリジェンス)とは」の記事でも触れましたが、1989年に、ガートナーグループのアナリストであったハワード・ドレスナー(Howard Dresner)が、最初に提唱してから多くの考え方、製品が登場してきました。その歴史と背景を振り返っていきたいと思います。

 

ビジネスインテリジェンスの黎明期

データを活用して経営戦略に役立て、経験や勘からの判断から脱却したいというニーズは昔からありました。1960年代に、システムに蓄積された情報を収集、集計して経営者や管理者の意思決定に役立てようとするMIS【Management Information System】情報管理システムという概念が生まれました。その当時は、ホストコンピュータが主流であり簡単にデータを抽出し利用できる環境ではなく、情報活用の実現は難しいものでした。

その後、DSS【Decision Support System】意志決定支援システム、SIS【Strategic Information System】戦略情報システムなどの情報活用の概念が生まれましたが、クライアントコンピュータの性能とネットワーク技術の向上により、データの取り扱いが安易にできるようになってきました。

そして、1989年にガートナーのアナリスト、ハワードドレスナーがビジネスインテリジェンスを提唱し、さまざまなBIシステムが発展してきました。

 

トラディショナルBIとは

トラディショナル BI の代表製品としてよく挙げられるのが Cognos と BusinessObjects です。Cognos は、1969年にカナダで誕生しました。

日本では、1989年に日本法人が設立され、2007年に IBM が買収し、現在は、IBM Cognos Analytics という名称で販売されています。さまざまなデータベースからデータを抽出し、帳票を作成できる ReportNet というレポートツールから始まり、アドホックに検索できる機能や MOLAP機能を有する PowerPlay を保有していました。一方、BusinessObjects は、1990年にフランスで創業されました。BusinessObjects の画期的な機能として、ユニバースという機能があります。情報担当者でもデータベースの内容を見て理解することが難しいことは想像に難くありません。

そこで BusinessObjects は、担当者が直接抽出する時に、セマンティックレイヤーという中間層を設けて、技術的な知識を持たないユーザーでも、簡単にデータベースにクエリーを実行し、レポートを作成やデータ分析できる仕組みを作りました。2007年に SAP が買収を発表し、SAPBusinessIntelligence というブランドで販売されています。

その他、Hyperion Solutions、Siebel などが Oracle に買収され、Oracle ブランドとして製品が販売されています。また、Microstrategy も古くから活躍していた製品です。Microstrategy は、従来のビジネスインテリジェンスの機能に加え、モバイル機能をいち早く取り入れ、市場を席捲していました。直感的な操作性に加え、Visual 的な機能は抜きんでており、また、モバイル端末のネイティブアプリもいち早くリリースしていたため、製造業の工場などでも現場で利用されることも多く、市場に広く浸透していきました。

 

セルフサービスBIの台頭

近年、BI 業界では、セルフサービスBIという言葉をよく聞きます。データを分析したい担当者が IT 担当者に依頼せずともデータを自由自在に活用できるという意味合いで広まってきた概念です。QlikView がインメモリ技術と連想技術という特長を引っ提げて、BI システムの業界に新風を巻き起こしました。

●インメモリ技術

インメモリ技術は、分析に必要なすべての明細データをメモリ上にロードします。

CPU の64ビット化によるアドレス空間の増加と大容量メモリの低価格化という背景もあり、メモリ上で大量データを処理してしまう技術です。

そのため高速演算を実現し、自由に分析できる環境になりました。

●連想技術

連想技術は、事前に分析軸を定義することなく、自由に分析をすることができる仕組みです。

分析というのは、予め決まっている分析軸でしかできないのでは、見たいものがみられない、分析しながら見たいものがわかった時には対応できません。分析は、いわば人間の脳の働きでもある「連想」と似た仕組みでしていくものであるという考え方です。技術的には、取り込んだデータの関連付けを自動で作成・保持しますので、どのような角度からも分析ができるようになっています。QlikView では、IT部門側で分析軸を作るのではなく、現場部門で分析者主体のBIということでセルフサービスBIという位置づけでリリースしたのです。これは、新しい製品でもある QlikSenseにも、もちろん引き継がれています。

●セルフサービスBI

そして Tableau がセルフサービス BI として登場してきました。「すべての人がデータを視て、そして理解することができるようご支援する」というコンセプトのもとすばやく、簡単で、どなたでも操作できるビジュアル分析ツールという位置づけで市場に浸透してきました。視覚化されたデータを見ながら分析する手法は、とてもわかりやすくセルフサービス BI の代表的な製品となりました。

●エンタープライズBI

セルフサービス BIと対になる概念としてエンタープライズ BI とよく言われます。

エンタープライズ BI とは、IT 管理者側がデータ活用を制御しやすいように作られている BI システムのことです。トラディショナルな BIツールの製品は、オプションとしてセルフサービス機能を追加してきており、またセルフサービス BIツールの製品は逆に、エンタープライズ BI の機能を強化してきています。

▼セルフサービスBI、エンタープライズBIについての参考記事

BI(ビジネスインテリジェンス)とは?BIツールの機能、活用事例など詳細解説

 

データの取り出し方の進化

大量のデータを分析するためには、高速性はとても重要な要素であり、BI と取り組むテクノロジーベンダーは、いろいろな技術で世の中に提案をしてきました。BI システムは、データウェアハウスとBIの両方があって一つのシステムとなりますが、その双方からのアプローチで高速性について様々な取り組みがされてきました。データウェアハウス側からは、高速なデータベース機能を追加し、データウェアハウスに適したデータベースが登場しました。また、ハードウェアとソフトウェアが一体になったアプライアンス製品も多く市場に出ていました。BI 側からは、データウェアハウスの形式を定義するものや、ハードウェア側にデータを保存する方向性が考えられました。近年ではクラウド上にデータを保存する企業も増えており、API 経由でデータを取得する方法もあります。

BIシステムの歴史の重要性とビジネスへの影響

BI システムの歴史は、オンライントランザクション処理(OLTP)システムから始まります。 OLTPシステムは、ビジネスプロセスを自動化するために開発されたもので、主にトランザクション処理に焦点を当てています。 しかし、企業が蓄積するデータの量が増えるにつれて、データ分析の重要性が高まりました。 これに応えるために、BI システムが開発されました。 これにより、企業はデータを収集し、分析し、ビジネス上の意思決定を行うことができるようになりました。 BI システムは、データ分析によって企業の競争力を高めることができます。 また、ビジネスプロセスを改善し、経営者が迅速かつ正確な判断を下すことができるようになります。 最近の BI システムのトレンドは、クラウドベースのソリューションや人工知能を活用した分析ツールの開発です。これにより、企業はより迅速にデータを分析し、迅速かつ正確な意思決定を行う環境を構築することができます。

セルフサービス BI では、利用者が思うようにデータを利用できないということを端に発し、それを解消するためにでてきたものですが、その壁となっていることがユーザビリティー、使いやすさです。分析が必要なところに、現在あるシステムに予め BI 機能を埋め込んでおく技術があります。

Embedded 製品といわれるもので、代表的な製品としてSISENSE、Looker、Yellowfin があります。

例えば、顧客管理システムの分析をする場合、従来、顧客管理システムのデータを抽出したり、BIシステムに繋げたりして分析をしていましたが、顧客管理システムそのものに BI を組み込んでしまうことができる製品です。その結果、利用者は、業務の流れに沿った形で、データを深堀していくことなり、BI そのものの使い方に迷うことがありません。

一方、Google の検索画面のように単語を入力して分析・レポートを作成するBI として ThoughtSpot が登場しました。ThoughtSpot は、使い方を学ばなくても直感的に欲しい情報を取り出し、分析したりすることができます。AI の機能が内包されており自動的に分析レポートまで表示され、意思決定の支援をしてくれます。

BI システムの歴史がもたらしたビジネスへの影響は計り知れません。BI システムはビジネスにおける意思決定の効率を大幅に向上させ、ビジネスプロセスの改善、コスト削減、生産性向上などをもたらしました。BI システムは、過去には大企業のみが導入できる高価なシステムでしたが、現在では中小企業も導入できるようになり、ビジネスにとって必要不可欠なツールとなりました。近年では、BI システムにAI技術を組み合わせることで、これまでのBIシステムと比較して、データ解析の自動化や、より高度な予測分析が可能になり、ビジネスの意思決定に大きな影響を与えることが期待されています。

▼BIツールの製品紹介

Tableau   https://www.zdh.co.jp/products-services/bi/tableau/

SISENSE   https://www.zdh.co.jp/products-services/bi/sisense/

Looker    https://www.zdh.co.jp/products-services/bi/looker/

Yellowfin   https://www.zdh.co.jp/products-services/bi/yellowfin/

ThoughtSpot   https://www.zdh.co.jp/products-services/bi/thoughtspot/

 

BIシステムの今後の展望

●AIと機械学習の進化

AI と機械学習の進化はBIシステムにとって重要なトピックです。これらの技術は、データの収集、分析、および予測に役立ちます。

例えば、機械学習は、過去のデータから傾向を分析することで、将来のトレンドを予測することができます。AI は自動化されたレポート作成やデータの可視化など、多くの作業を自動化することができます。時間とリソースを節約し、より正確な分析を行うことができるため、データの品質を向上させることができます。また、データの欠損や重複を自動的に検出することができます。これにより、BI システムはより正確な情報を提供することができます。AI と機械学習の進化によって、AIとの連携を深めることで、BI システムの将来にとって非常に重要な役割を果たすことが予想されます。

●リアルタイム分析の普及

リアルタイム分析は、ビジネスにおいてますます重要な役割を果たすようになっています。その理由は、ビジネス上の意思決定をより迅速かつ正確に行うことができるためです。リアルタイム分析により、ビジネスは適切な戦略を立てるための情報をより迅速に入手でき、市場の変化に対応することができます。このようなリアルタイム分析の普及には、クラウドコンピューティングの進化や、IoT の普及、ビッグデータの増加などが大きく寄与しています。今後も、リアルタイム分析はますます重要になっていくことが予想され、ビジネスにおいても必須の技術となるでしょう。

●プライバシーとセキュリティの課題

BI システムの利用が増えるにつれ、プライバシーやセキュリティに関する課題が浮き彫りになってきました。BI システムは、企業の重要な情報や顧客情報を扱うため、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩などのリスクがあります。

そのため、BI システムを導入する際には、セキュリティ対策が必要不可欠です。また、プライバシーに関する問題もあります。BIシステムには、個人情報や顧客情報が含まれることがあります。データの取り扱いには、個人情報保護法などの法律や規制に従う必要があります。企業はセキュリティ対策やプライバシー保護のために、情報セキュリティポリシーやプライバシーポリシーの策定、社員の教育などを行う必要があります。BI システムの利用に際しては、これらの課題にも十分に注意し、適切な対策を講じることが求められます。

 

まとめ

BIシステムの歴史とトレンドについて、様々な要因が影響しています。初期のBIシステムは、会社内の情報を収集することに重点が置かれていましたが、現代の BI システムはデータの分析とビジネスインテリジェンスに重点が置かれています。このようなトレンドは、ビジネスにとって非常に重要であり、ビジネスの意思決定に大きな影響を与えています。BIシステムは、データの分析や可視化、レポート作成などを行うことができ、ビジネスの成長を促進し、競争力を高めることができます。BIシステムの将来については、AIや機械学習などの新しい技術が導入されているので、BI システムはさらに進化し、より精度の高い分析が可能になります。

BI システムの歴史をおさらいすると、1980年代に導入されたデータウェアハウスが先駆けとなりました。その後、1990年代にはオンライン分析処理(OLAP)が登場し、BIシステムの基盤が整い始めました。2000年代に入ると、データマイニングやビジネスパフォーマンス管理(BPM)などのビジネスインテリジェンス技術が発展し、BI システムの機能が拡大しました。現在はビッグデータやクラウドコンピューティングの普及により、BI システムの利用はますます広がっています。今後は、AI技術の活用や自動化などにより、BIシステムはますます高度化していくでしょう。BI システムの歴史を振り返り、現在のトレンドを探ることで、ビジネスにおいてBIシステムが果たす役割や価値はより一層高まっていることをご理解いただけたのではないでしょうか。

 

▼BI(ビジネスインテリジェンス)システムに関するより詳しい説明

「BI(ビジネスインテリジェンス)システムとは」

 

●「Z-BISS」

ジールではこれからBIツールを検討したい、もっとBIツールを活用したい皆様、お客様のデータ活用にぴったりなBI製品をお客様の立場で選定するサービス「Z-BISS」をご提供しています。Z-BISSとは、さまざまなBI製品の中からお客様が要望される製品を提案させていただくサービスです。

データ活用の課題としてあがる、BIツールを導入したけれどうまく運用できていない、新しくBIツールを検討したいけれどどの製品が自分の会社にマッチするのかわからないといったお悩みに対し、Z-BISS(ZEAL BI Select Service )というBIツールの相談窓口を設けています。

 

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