公開日:2021年7月30日

更新日:2021年7月30日

2021年7月14日、株式会社ジールにて、『【ウェブセミナー】業務部門をデータ活用者に導く「Microsoft Power BI」×身に付くデータ活用人材育成』が開催されました。その内容をレポートします。

 

はじめに

“業務部門でデータ活用が出来ているとはどのよう状態なのか?”
“データ活用者を広げるにはどのようなツールが適切なのか?”
“どのような人材育成をしていけばよいのか?”
このような悩みを解決する手段として、業務部門が自律的にデータ活用できる環境を整える事が必要です。本セミナーでは、世界で最も利用されているデータ可視化ツール Microsoft Power BI とデータ活用の人材育成に着目し、Power BI の優位性、DX人材育成の方向性、オンライン・オンデマンドによる人材育成と、データ活用者になる為の必要な要素と成功要因について事例を交えてご紹介します。

 

第一部:国内No.1導入実績があるから知っているMicrosoft Power BI の魅力

講師:株式会社ジール 営業本部 中村 健 氏

 

Power BI とは

Power BI は、 Microsoft 社が提供している「誰もが容易にデータ活用を行い、その効果を実感して発展させることを目的としたツールとプラットフォーム」というコンセプトのBIツールです。特長としては、SaaS型のサービスで、様々なデータソースにつないで、レポートやダッシュボードを作成することができます。Power BI は、Power BI Desktop という無償のクライアントツールと、Power BI Service という、SaaS上でデータやレポートの共有を行う環境をセットで使用します。(下図参照)

作成手順は、Power BI Desktop にてレポートを作成してPower BI Service 上に共有基盤にレポートを発行し、ブラウザや、専用のモバイルアプリから閲覧して分析します。

  • Power BI Desktop

Power BI Desktop は、主にレポートを開発する用途の、無償のクライアントツールです。この Desktop の中で、データのリレーション・モデリングや可視化、セルフ分析が可能になります。

  • Power BI Service

作成したレポートの発行先が、Power BI Service となります。こちらはレポートを共有するためのプラットフォームで、一部、Service 上からでもレポートの編集などはできるのですが、主には共有・分析用のクラウド環境となります。レポート共有をするには「する側」/「される側」双方に、有償の Power BI Pro ライセンスが必要になります。Power BI Pro ライセンスは月額1090円のユーザライセンスとなっていて、最小2ユーザからとなりますので、非常に安価にスタートできる点が大きな特徴です。詳細は、下のライセンス体系表をご参考ください。

 

Power BI が選ばれる背景・理由

BIツールには、セルフBI とエンタープライズBI という分類があり、主にデータの管理・統制の観点から採用すべきツールが変わります。Power BI はセルフBI に分類され、ユーザ自身で分析を行いスモールスタートで開発可能なツールです。

BIツール選定時のポイントは3点あります。

  • ユーザビリティ

IT部門の方々が中心となり展開を図っていくのか、それとも業務部門が中心になって分析を行っていくのか、主体となる分析者がどこになるのかでも求められる使い勝手や分析の要件が大きく異なってきます。

  • 周辺システム

Power BI は様々なデータソースを選択することが可能で、Excel や csv、JSON などのファイルはもちろん、IBM や Oracle といった、Microsoft 製品以外のデータベースにも接続することが可能です。もちろん、Power BI は Microsoft Azure との親和性も大きな強みの1つです。

  • コスト

ハードウェアの導入費、初期段階では DWHの導入費も不要です。

ライセンス体系表

※Power BI Premium Per User、Power BI Premium Per Capacity のライセンスに関しては、為替の影響により価格が変動する可能性があります。

<参考サイト>
Microsoft Power BIとは
https://www.zdh.co.jp/products/microsoft-power-bi/

 

ご支援できること

ジールではレポート開発を請け負うことが可能です。また、その後の保守サポート、トレーニング、E-learning の提供も行っています。さらに、BIの前段にあるデータプラットフォーム、データレイク・DWHといった部分の構築を非常に得意としています。AIや解析の分析の高度化についても、データサイエンティストが社内におりますため、コンサルテーションのような形でご支援することも可能です。

 

第二部:データ活用人材のあるべき姿と人材育成

講師:株式会社ジール データドリブンサービスユニット ユニット長 福田 成志 氏

 

データ活用人材育成の“背景“

昨年経済産業省から出された「DXレポート2」の中間とりまとめによると、下記の記載がありました。

  • 90%以上の企業:DX未着手か、途上

  • 70%の企業 :部分的な活用

データを活用するには、データドリブンで経営判断する意識が必要です。これまでのような、経験や勘や度胸(KKD)による意志決定ではなく、データに基づいて意思決定をしていくことが求められます。これからの時代は、【全員データ活用の時代】であり、誰か特定の人やデータサイエンティストだけではなく、ビジネスに関わる方、全員がデータを活用する必要があります。データを集めてデジタルプラットフォームを構築し、そのデータをどう活用するか、その背景を元に人材育成を並行して進めることが非常に重要なポイントになります。

出典:経済産業省 「DXレポート2 中間とりまとめ」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation_kasoku/20201228_report.html

 

データ活用と育成の方向性

組織の中の構造をイメージしてください。例えば営業部、経理部といった現場の方がいらっしゃいます。下図はその中で、データを業務で活用する少数派の“パワーユーザ”のグループと、結果を見る多数派の“参照ユーザ”のグループに分かれることを表しています。この様にピラミッド構成になるケースが多くある理由は、データを活用する考え方の理解度の違いにあります。育成の方向性は、この“参照ユーザ”のグループをなるべく“パワーユーザ”のグループに引き上げ、このピラミッド構造をひっくり返し、組織の全員がデータを活用する環境をしっかりと作っていくことが目指す育成の方向性になります。ではそれを行うためには何から取り組めば良いのでしょうか。そのヒントは、次のチャプターでご紹介いたします。

 

ZEAL DX-Learning Room

-ZEAL DX-Learning Room-
https://www.zdh.co.jp/products/dxlr/
ZEAL DX-Learning Room は、データ活用の仮説・目的設定から、データ分析のノウハウとBIツールのノウハウの習得、そしてパワーユーザと参照ユーザの情報交流もできるような仕組みを備え、全社のデータドリブンの人材育成に必要な内容を、効率的に学ぶことができるサービスです。またこちらのツールは、実務で活用出来るデータ分析人材育成を行っているデータ&ストーリーLLC 代表の柏木吉基先生に監修頂いています。

 

ZEAL DX-Learning Room 全体像 コンテンツの構成

ツールの内容は、下記のパートで構成されています。

  1. 柏木先生によるデータを活用する考え方のコンテンツ
  2. BIツールを習得するためのコンテンツ
  3. ティップス集(テクニカルについての検索や、演習コンテンツ)
  4. コミュニケーションルーム(組織の中で情報共有する)

このツールのメリットは、BIツールの習得過程において操作画面を一時停止、巻き戻しなど反復することができる点です。集合研修で不明点があった場合、周りの受講生に遠慮して流してしまう事もあるかと思いますが、このツールではご自身のペースで進められるのでより習熟度がアップします。

 

まとめ

データ活用人材の育成の背景としては、これからの時代は【全員データ活用の時代】にシフトします。データドリブンを目指すには、一部の人やデータサイエンティストだけではなく、ビジネスに関わる全員がデータを活用できなければならないという背景があります。育成の方向性としては、“パワーユーザ”と“参照ユーザ”のピラミッド構造をひっくり返すような仕組みが必要になります。そのためには、データを活用する考え方と、データを活用する方法の両輪でしっかりと回していく必要があります。このような仕組みを作り、リードする人を立て、その他の人たちが困らない環境を作り込み、ラーニングツールを活用し人材育成を実現して行くことが必要です。

 

第三部:データ活用者リテラシー底上げの成功要因とは

講師:株式会社ジール ビジネスアナリティクスプラットフォームユニット コンサルタント 佐野 満当香 氏

 

1.Power BI トレーニングについて

ジールで主催しているトレーニングコースは初級編と中級編の2つあります。トレーニングの実施方法は、オンラインTeamsで実施をしています。トレーニングコースにもよりますが、講師の画面を使って説明を行い、皆さんに手を動かしていただく時間を設けて、受講者全員がレポートを完了・作成し終えるような体制になります。 質問は、直接お話いただくか、会議チャットを利用します。

  • 初級

初級編は、BIツールをほとんど触ったことがない方向けのコースです。BI の定義や BI で使われる用語の説明などから説明をします。その後、基本的な機能の説明を行い、実際レポートを作ってみるという内容になります。今はオンラインがメインになっているため、オンラインコースですと6時間程度のプログラムとなります。

受講スキル:Excelで四則演算を使ったことがある方

  • 中級編

中級編は、Power BI を二日かけて体系的に学ぶコースです。サンプルデータを使用して分析を行い、レポートを見ながら自分でカスタマイズします。オンラインでは一日目が7時間程度、2日目が6時間程度となっています。

受講スキル:Excel でVLOOKUP 関数など使用できる方、ACCESS を使用されている方

<参考サイト>
Microsoft Power BI ハンズオントレーニング
https://www.zdh.co.jp/service/powerbi_training/

 

2.Power BI を社内活用していくために

  • トレーニング受講メリット

Power BI の構築に参画をした経験から、皆様が躓きやすいポイントについて例を用いてわかりやすくお伝えします。また作成する上でのポイント、注意点、ティップス、関数に関しても、テキストの記載がないものもできるだけ盛り込んでご紹介します。普段 Excel で作成しているデータやレポートが、Power BI に展開したことで新たな側面に感動されることが多いです。

  • 社内活用方法

ポイントを整備し、「Power userのチーム」を設置する点が一番の鍵です。

・業務に分析を組み込んでいく過程でレポートを作り、みんなが分析できる土壌を作っていく
・社内で相談できる窓口を設置する
・トレーニングなどの教育を実施する
・ユーザコミュニティのユーザが集まる分析会議等を実施する
・始め方の手順書を共有する
・社内に散在したデータをリスト化する

 

3.Power BI トレーニング事例

日揮ホールディングス株式会社様

  • 日揮グループに Power BI のトレーニングを実施した背景

・データ活用を普段の業務に生かせるような人材育成に重点をおく
・データ収集からデータの可視化を社内に定着させ、データ活用の土台を作る

プラント建設大手の日揮グループでは「ITグランドプラン2030」を掲げ、AI や IoT など最新のデジタル技術を活用したビジネス改革に取り組んでいます。そこで求められていたのが、経験や勘だけに頼るのではなく、データから判断するデータドリブンをベースとした業務の進め方でした。
ベースとなるデータ分析ツールには、すでに導入していた Microsoft 365との親和性が高く、コスト面でも大規模導入が可能であることから、Power BI が選定されました。Power BI を利用したデータ活用促進の為、公募制での社員トレーニングを実施することも決定。マイクロソフト認定パートナーであり、Power BI 研修において実績豊富なジールのトレーニングを採用し、データ活用の土台を作っていくことになりました。

<参考サイト>
https://www.zdh.co.jp/customer/constructionindustry/jgc_training/

 

まとめ

本セミナーでは、Microsoft Power BI とデータ活用人材育成に着目し、Power BI の優位性、DX人材育成の方向性、オンライン・オンデマンドの Power BI 人材育成と、データ活用者になる為の必要な要素と成功要因について事例を交えてご紹介致しました。DXを実現するためには、データを活用していく人材育成が大きな鍵となります。是非、上手にラーニングツールを活用しながら DXを推進して頂ければと思います。詳細についてはこちらからお問い合わせください。

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