「週刊少年ジャンプ」や「りぼん」などのマンガ誌をはじめ、「nonno」や「MORE」など多数のファッション誌を代表する雑誌、文芸書、児童書などを出版する集英社。日々生まれる膨大な量のデータを従来はExcelで管理・分析をされていましたが、より効率よくデータ活用するためにビジュアル分析ソフト「Tableau(タブロー)」の導入を決定され、そのパートナーとして白羽の矢が立ったのが、ジールでした。

プロジェクトメンバー

小島 頌護 / リーダー
SIサービス第二本部
第一事業部
2015年入社
前職ではネットワークエンジニアとして、大手IT企業のプロジェクトに携わる。その後、業界で話題になり始めていた「ビッグデータ」という単語に可能性を感じてジールへ。集英社様のプロジェクト担当時はサブリーダー。プロジェクトの管理者としてお客様と社内の調整、工程管理などを担当。
西田 陸
SIサービス第二本部
第一事業部
2017年入社
早稲田大学機械工学科を卒業後、ジールへ新卒入社。学生時代の友人が自動車メーカーの製造や生産管理などモノづくりの道へ進むなか、就職活動を進めるうちにIT業界への興味が湧きジールの門を叩く。プロジェクトでは主にデータまわりを担当。お客様のデータを確認し、その後の構築や分析の方法を探る役割を果たした。

プロジェクトの課題

想像していたものとかけ離れていた、参照元のデータ構成。

小島 : 正直言って、最初はそれほど難しいプロジェクトじゃないと思っていたんです。新しい分析軸をつくるのではなくて、現状Excelで実施しているデータの集計や分析をBIで行えるようにすればいいというオーダーだったので。お客様も参照元のデータはそのまま使えるとおっしゃっていました。

西田 : でも、いざフタを空けてみると事前に聞いていた状態ではなかったんですよね。データ同士の関連性があいまいだったり根拠となる資料がなかったり。

小島 : そうそう。データを入れ直すまではしなかったけど、Tableau(タブロー)上でまとめて関連付けるということを、新卒1年目ながら西田くんがひとつひとつ、トライ&エラーを繰り返してやってくれたよね。

西田 : はい。まだ入社5ヶ月目くらいで、そもそもTableauというツールを操作したことすらなかったので自分で調べたり社内の人に聞いたりしながら、ひとつひとつの作業を手探りで進めました。

小島 : そこはもう、すごく原始的に。

西田 : でも、当社はBIを専門とする会社ですのでインターネットで検索するよりも社内のノウハウの方が多いんです。それはすごく助かりましたね。課題が多すぎて何をどうすればいいかわからないこともありましたが、何かひとつ手を入れると少しずつ良くなる実感があり、小島さんと相談しながら本当にひとつひとつ解決していきました。

小島 : そうだね。僕がチームとして心がけていたのは、わからないことをわからないままにせず、すぐ仮説を立ててチームに共有すること。結果的に間違っていてもいい。また別の仮説を試せばいいんだから。西田くんはそのあたりのセンスがあるので、正しい仮説を立ててひとつひとつ解決することにやりがいを感じてたね。でも、“報連相”では苦労したよね。

西田 : そうですね。正直言って報連相が一番苦労したことかもしれません。内容だけでなく、伝え方や伝える順番が大切ということを学びました。

小島 : 簡潔に伝えてということは、口酸っぱく言ったよね。結果が先、と。「なぜ」から話始めると、結局何を伝えたかったのかがわからなくなる。結果を先に言えば、「なぜ」はこっちから聞けるからね。そして正解を導いていても、裏付けとなる根拠を掘り下げて聞くと、うまく表現できないこともあったね。言っていることがわからなくて「もう1回!」と始めから聞き直したり。

西田 : そうですね。でもこのプロジェクトを通じて情報共有は特に学んだと思います。どう伝えれば相手の時間を使わないかとか、メールの文面ひとつ考えるときにも意識するようになったので、今もその経験が活きているなと感じます。

プロジェクトの取り組み

「いいものをつくりたい」という想いに、追加機能で応えていく。

小島 : 今回のプロジェクトは、これまでExcelでつくってきたデータをBIで再現するというゴールが明確だったので、他の案件のように事前に設計を固めてから取りかかるというよりもお客様と相談しながら進めるというスタイル。そのなかでいくつか追加機能の依頼もいただいたよね。

西田 : 単純にフィルターの項目を追加するというものから、グラフの色を変更したりマウスを持ってくるとポップアップでイメージが出るようにしたり、会議用にPDFデータを出せるようにするというものまで。機能だけでなくデザイン面でも変更がありましたね。

小島 : 複雑なデータを直感的に見られるようにすることこそ、BIの本義だからね。でも、やっぱり話が進んでいくにつれて「より良いものをつくりたい」という一心で、いろいろご要望が出てくるんだよね。「使える時間のなかでお客様の期待値をどう超えるか」を考えるのが一番苦労したかな。モチベーションはもうそれだけ。でも、今回はキーマンの方と膝を突き合わせて話ができたことで、時間内でできることは精一杯応えながらも、できないことは「お時間をください」ときちんと言える関係性で進められたのは大きかったかもしれない。

西田 : プロジェクトによってはメールや電話での会議で、お客様と対面して話せないケースもありますもんね。

小島 : あるね。今回のプロジェクトで気づいたことのひとつは、対面で話すことの大切さかもしれない。やっぱりお客様と直接話すほうが伝わりづらいニュアンスが明確に伝わるし、ちょっとした確認もすぐにできるからね。結果としてプロジェクトが早く進む。今回のプロジェクトも機能追加があったけど、結果的には予定通り3ヶ月で納品まで持っていけたからね。

西田 : お客様も忙しいのでなるべくメールとか他の方法で…と思いがちですが、やっぱり会うことが大切ですね。

プロジェクトの成果

「ジールと出会えたことが最大の財産」。データ活用の工数と時間を大幅に削減し喜ばれました。

西田 : これまで毎日1~2時間かけて入力し、さらに1~2週間後にようやく活用できるようになっていたデータが、Tableauでは日々更新されるようになりました。極端な話、これまでかかっていた工数と時間をまるごと削減できたので、お客様には大変喜ばれました。

小島 : 納品後に別のプロジェクトで担当者と会ったときに、「分析をする各部署の方々からかなり好評だよ」と“はなまる”をもらったよ。自社の事例紹介にもご登場いただいたんだけど、そのときの取材では「ジールと知り合えたことが最大の財産です」とまで言っていただけて。しびれたなぁ。それから、社長にも褒めてもらったよ。

西田 : 大変でしたけど、喜んでいただけて本当に良かったですよね。自分の役割としてはお客様と話す機会は多くありませんでしたが、1年目にも関わらず打ち合わせに参加させていただけて、技術者としてプレゼンをする機会もいただけたので、すごく刺激になりました。

小島 : 誰にでもチャンスがある会社だよね。他の会社なら入社1~3年目の新人にこんな名の知れたお客様をまかせてもらえないんじゃないかな。

西田 : 小島さんは前職もIT企業でしたが、会社によって社風とか方針って違うものなんですか。

小島 : 全然違うね。やっぱりジールのほうがチャレンジ精神にあふれてる。集英社様みたいな大きな会社と、間に何社かはさむことなく直接取引できるしね。それはやっぱりBIの専門家というポジションだからこそ、発言力があるのかもしれない。

西田 : 業者という感じじゃなくてパートナーに近いですよね。

小島 : そうだね。「これを作ってくれ」と指示されたものをただつくるのではなく、お客様と膝を突き合わせながら「こうじゃない、ああじゃない」と議論して進められるのが、この仕事の一番の醍醐味かもしれないね。